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読者に代わって闇金関係の書籍を読み、要約を紹介しています。
皆さんの情報収集にお役立てください。
今回は「貧乏人を喰らう奴らを暴く!」(夏原 武 著 宝島社 刊)です。
「貧困ビジネス」の手口を詳細に暴露しています。
夏原 武さんはアンダーグラウンドな世界を中心に取材していろいろなルポルタージュを出しているノンフィクション作家です。
「クロサギ」「逃亡弁護士・成田誠」「LOVERS HOTEL」などのマンガの原作者でもあります。
「貧乏人を喰らう奴らを暴く!」はいわゆる貧困ビジネスの実態を暴露した内容です。
貧困ビジネスに関する本は、門倉貴史氏の「貧困ビジネス」もあり、当サイトにも要約を収録しています。
しかし、こちらの方は貧困ビジネスの加害者や被害者に取材して具体的な手口や顛末を詳細にレポートしています。
学者寄りの人が書いたものと泥臭い取材にどっぷり漬かったフリーライターの書いたものの差が感じられます。
在宅ビジネス商法
副収入がほしい主婦などを狙った詐欺。
内職商法、在宅商法、副業商法とも呼ばれ、宛名書きなど昔からいろいろな物があった。
比較的新しいものでは、テープ起こし商法、製図トレース商法など。
開業前の教材や道具の購入でお金を取られるが、実際には仕事がもらえないもの。
キャリアリンクはテープ起こしで全国の5万2000人から65億円を集め、2003年に摘発された。
最近はインターネット系のビジネスでSOHO商法が増えている。
ちゃんとしたものもあるが、詐欺も多い。
例えば、始めてみると「そのパソコンでは古すぎてソフトが安定的に動かないので」と言われ、パソコンを買わされるなど。
カード現金化
一時盛んだった一種の闇金。
カードで価値のない商品を買い、それを購入価格より何割か安い値段で転売すると代金が振り込まれる。
ショッピングは総量規制の対象外なので、これ以上借りられない人間もこれで現金が作れる。
リボ払いを利用すると当面の負担感も少なく、いくら金利を払っているのか実感が麻痺する。
業者は200~300%台の金利が取れ、取り立ても必要なく、確実に回収できる。
規約違反ではあるが、貸し倒れない限りはもうかる方がいいので、カード会社の取り締まりも甘い。(少し前の話だが)
生活保護ビジネス
ホームレスやネットカフェ難民を集めて生活保護を受給させ、大半を搾取するビジネス。
住所不定だともらえないので、当人たちにも一定のメリットがあり、その日を生きることしか頭にない人間は搾取も気に留めない。
普通の人間が入居しないような「いわくつき物件」を抱えている家主にもメリットがある。
メインは生活扶助と住宅扶助だが、医療扶助を使って睡眠薬や向精神薬をもらいに行かせ、それを転売することもしている。
生活保護者が転居する時に費用を支援する制度のある自治体では、持ち物件の中で転居をさせ、支援金を詐取することもできる。
戸籍売買仲介ビジネス
前科などで海外渡航ができなくて新しい戸籍が欲しい金を持った人間。
目の前のお金で戸籍を売ってもいいと考える最底辺の人間。
二社をマッチングして高額な手数料を取るビジネス。
養子縁組ビジネス
養子縁組はチェックが甘いので、これを利用して名前を変えられる。
偽装結婚なども併せて何度か繰り返すと過去は閉鎖謄本に密閉され、戸籍がきれいになる。
マネーロンダリングならぬネームロンダリング。
名義売り
横浜ナンバーや品川ナンバーなどの人気ナンバーを得るための「車庫飛ばし」に協力するバイトと称して、名義を売り飛ばす手口。
組織万引き・売春
ごく普通の主婦が誘われて、万引きグループや売春組織に加入。
運び屋
海外旅行にも行けていないような女性を、ただで「旅行ができてお小遣いまでもらえるビジネス」に誘う。
運ばせるのは薬物名のようなハイリスクな物ではなく、コピーブランド商品。
持ち込み個数が少なければ、個人用と判断され、最悪発覚しても没収とバイト料没で済む。
バイアグラの持ち込みなども行われる。
闇金の関する話
この本では、闇金に手を出してしまうような最底辺層の話は十分にありましたが、闇金自体に関する話は少なかったです。
そんな中で、一つ面白い話が載っていました。
それは、違法な金融は西日本から始まることが多いという話です。
年金金融は関西、九州から始まったそうです。
スピード金融、090金融なども西日本が起源だそうです。
そういえば、かつて存在した日賦貸金業者(日掛け金融)という高利貸しも九州、関西が中心でしたね。
また、生活保護の不正受給も大阪が多いらしく、四国のまっとうな申請者が「ここでは難しいので、大阪へ行け」と勧められる話が出ていました。
関西にはミナミの帝王みたいな奴のDNAがずっと息づいていて、時代につれ法規制が変わるたびに、新しい闇金の業態を生み出すのかもしれません。