PR
最近、「ソフト闇金」というものが出現しています。
自ら名乗っている業種名なので驚きです。
その実態について調べてみました。
名称の通り、従来の闇金よりソフトな対応をする闇金業者です。
従来の凶悪なスタイルの闇金に対する取り締まりが強化された結果、こうした新スタイルが登場しました。
「トゴ(10日で5割)といった極端な暴利や威嚇的対応は、もはや過激すぎてデメリットの方が多い。」
「取り締まりを受けてはトカゲの尻尾きりを繰り返すより、もう少しソフトにスマートにビジネスをやろう。」
「今まで携帯番号だけ教えて隠れてきたが、固定電話やURLを公開して利用者を安心させて引き付けよう。」
そう考える闇金業者が増えてきたのだと思います。
「ソフト闇金」というのは第三者がつけた呼称ではなく、自ら「ソフト闇金」と名乗っている業者が多数存在します。
試しに「ソフト闇金」を検索してみてください。
こんなものがなぜ取り締まられないのか、不思議です。
対応のソフトさから相手が闇金と認識しないまま、取引を開始する人もいます。
しかし、「ソフト闇金」を検索して取引する人もいるし、自ら「ソフト闇金」と名乗る業者も多いです。
こういうところからお金を借りる人は、何を考えているのでしょうか?
ひとつは「闇金」と名乗ってしまっていることに、ある種の「正直さ」を感じるのかもしれません。
「自分たちは違法な高金利を取る闇金。それは事実。でも手荒いことはしない。自分たちに可能な範囲でできるだけ良心的にやっている。」とでもいうような。
そしてこう思うのかもしれません。
「自分は、銀行はおろかサラ金にも相手にされないような人間。あとは闇金しかないのは仕方ない。でも闇金でもソフトなら大丈夫なんじゃないか?」
「実際に電話をかけてみたら、親切な対応だった。やっぱり大丈夫だ。」
「ホームページも固定電話もあるから、闇というほど闇じゃないはずだ。」
しかし、これらは勝手な思い込みにすぎません。
自分の行為を正当化するために、ひとりよがりな論理を重ねているにすぎません。
闇金対策に詳しい弁護士によれば、ソフト闇金は最もたちが悪い闇金だそうです。
集客
昔の闇金は、ブラックリストの裏買取、電柱張り紙(電貼り)、ポストへのチラシ投函などで集客していました。
ソフト闇金は、ホームページ、SNS、個人間融資掲示板など、主にネットで集客します。
宣伝文句は次のような感じで、ここは従来の闇金と変わりません。
金利や借り入れ上限額
一週間で20%、10日で30%が相場です。
これは、近年の闇金の相場であるトゴ(10日で50%)に比べればかなり安いです。
しかも、金利の先引きをホームページで明示している場合が多い。
例えば、従来だと4万円をトゴで貸しますと言われ、10日に6万円返せばいいのだな、と思っていると土壇場で違うと言われました。
2万円の金利は先引きだと言われ、4万円から2万円を引いた残りの2万円を渡されたのです。
とりあえずは4万円手にできると思っていた利用者は騙された気分です。
中止を申し出ると、高額なキャンセル料がかかると言われ、しぶしぶ2万円を持って帰るという状態でした。
これに対し、ソフト闇金は金利が先引きであることを最初から告げ、実際に手にできる金額をホームページに公開していることが多いです。
【1週間で20%の金利の例】
借入額 |
金利(先引き) |
手数料 |
お渡しする額 |
---|---|---|---|
2万円 |
4000円 |
3000円 |
1万3000円 |
5万円 |
1万円 |
3000円 |
3万7000円 |
10万円 |
2万円 |
3000円 |
7万7000円 |
この例のように金利とは別に3,000円くらいの手数料を設定していることが多いです。
表には借入額10万円くらいまで書いていたりしますが、初回貸付上限額は下がっており、せいぜい5万円までのようです。
このように先に引かれるお金を公開している点は、従来の闇金より良心的といえば良心的です。
しかし、依然として違法な暴利であることに変わりありません。
ソフト闇金の金利を年利に換算してみましょう。
出資法の上限金利は20%で、これを超える金利で貸し付けると刑事罰の対象になります。
ソフト闇金は従来の闇金より低金利といっても、法定の上限金利の50倍もの暴利なのです。
借りた一瞬は楽になっても、到底返しきれるものではありません。
借り入れ交渉の様子
まず、顔写真入り身分証明書のメール送信が求められます。
次に「非常連絡先」の名目で、親兄弟や友人知人の連絡先を聞かれます。
これは回収できなくなった時に周囲の人間から取り立てるためで、従来の闇金もやっていたことです。
返済のための振り込み口座は、借り入れの段階では教えてもらえません。
取り締まりを逃れるため、振り込み先は毎回変えているというのが理由です。
返済方法が不確定なのは、大きな不安要素です。
返済ができないようにして金利を膨らませる手口は従来からありますが、ソフト闇金でも業者によってはその危険があるわけです。
交渉がまとまると、金利と手数料が天引きされた額が、利用者の口座に振り込まれます。
預金口座の提供要求
その次に、預金口座の提供を要求されるケースがあるようです。
キャッシュカードを送付し、暗証番号を教えることを求められます。
「何らかの理由で返済用の口座が使えない時には、自分名義のその口座に振り込んでほしい。」
「われわれはカードでそこから引落して返済してもらうので。」というわけです。
あるいは「預金融資」という方法で貸すので、というよくわからない口実で求められることもあります。
あるいはいったん融資を断り、口座を渡すなら融資しようと言ってくることもあります。
さらにはダイレクトに2万円ぐらいで買い取りたいと言われることもあります。
「どうせ残高はゼロだし、まあいいか」などと応じると、大変なことになります。
銀行口座の名義貸し、譲渡や売却は、それ自体が違法で、発覚すれば全銀行の口座が凍結されます。
口座がマネーロンダリングや詐欺に悪用された場合、口座を提供した人間も共犯者として刑事罰に問われます。
闇金業者は常に銀行口座を必要としており、あの手この手で違法に収集しています。
ソフト闇金に接触すると、法外な金利を貪られるだけでなく、違法行為の共犯者になってしまう危険まであるわけです。
取り立て
ソフト闇金は、返済が遅れても最初は比較的穏やかな対応をする場合もあるようです。
しかし、それが過ぎると次の段階に移ります。
借り入れた本人に脅迫や暴力的取り立てをせずに、借入時に教えた「非常連絡先」に嫌がらせを始めます。
本人はもう返済能力がないので、攻め立てても警察の介入を招くだけ。
社会的信用を棄損することで「非常連絡先」から回収する方が合理的、という考えです。
「非常連絡先」の人が銀行員など「堅い職業」であるほど、闇金から連絡があること自体困るので、支払いに応じてしまいがちです。
しかし、この回収方法がうまくいかないと、ついに本人に対して脅迫や暴力的な取り立てに移行することもあるようです。
結局、最後まで見てみると、ソフト闇金は従来の闇金と大差ありません。
こんな連中には決して関わらないことです。