被害者にも過失があると損害賠償金は割り引かれます。
これを過失相殺といいます。
過失を何%と認定するかは、保険金額を左右する重要な争点。
過失割合決定のシステムや判例に精通していないと交渉は難しく、弁護士の助けを借りるべきです。
治療費や慰謝料など、被害者の損害額合計が1,000万円だったとしましょう。
被害者の過失割合が0%なら、1,000万円請求できますが、そういうことは稀です。
過失は細かい点までシビアに追及されます。
素人考えで「自分に過失はない」と思っても、何らかの過失が認定されることが多いのです。
過失割合が20%なら請求額は800万円、 30%なら700万円になります。
ここまでは簡単です。
しかし、交通事故では当事者双方に損害が発生することが多いです。
ここではそれをAさんとBさんとしましょう。
その場合、Aさんの損害に対してはBさんが加害者、Bさんの損害についてはAさんが加害者と捉えます。
Aさん |
Bさん |
|
---|---|---|
損害額 |
500万円 |
300万円 |
過失割合 |
80% |
20% |
減額後の損害額 |
100万円 |
240万円 |
最終的な清算 |
Aさんに140万円支払い |
Bさんから140万円受取 |
過失で減額した後の損害はAさんが100万円、Bさんが240万円
240万円-100万円=140万円の差額を清算して完了となります。
過失割合が決まった時に損害額をどう修正するのかは分かったと思います。
しかし、過失割合自体はどうやって決めるのでしょうか?
事故でどんな状況だったら過失は何%というのを客観的に決めるにはどうすればいいのでしょうか?
実は事故の類型が整理され、その中でこういう場合は何%ということが細かく定められているのです。
その情報は判例タイムズ(通称「判タ」)という雑誌に定期的にまとめられ、更新されています。
【判例タイムズ】
この中から当該の事故に一番近い状況を見つけて、そこに決められている過失割合を微調整して決めます。