ザ・闇金融道(夏原 武)|闇金関連文献リスト

ザ・闇金融道(夏原 武)|闇金関連文献リスト

「ザ・闇金融道」の要約

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読者に代わって闇金関係の書籍を読み、要約を紹介しています。

 

皆さんの情報収集にお役立てください。

 

今回は「ザ・闇金融道」(夏原 武 著 宝島SUGOI文庫)

 

業者と被害者、双方のインタビュー満載の一冊です!

 

 

本と著者

夏原武氏はヤクザや裏社会をテーマにした作品が多いノンフィクション作家です。

 

取材対象の生の声を多用して構成するのが作品の特徴であり、そのため生々しい臨場感があります。

 

「現代ヤクザに学ぶ最強交渉・処世術」などの著書があり、漫画「クロサギ」の原作者でもあります。

 

「ザ・闇金融道」は、闇金業者や被害者の生の声で構成された実態がよく伝わる本です。

 

2009年初版でやや古いですが、それでも比較的最近の闇金の姿を伝えています。

 

本の内容

 

第1章 女が闇金にハマるわけ

 

元OL風俗嬢が語る転落の経緯
自分が仲間になった会社の女性グループの仕切り役は、親元で暮らしているため経済に余裕のある子だった。

 

そのため、付き合いの費用がかさんでカードローンがいっぱいになり、消費者金融から借りるように。

 

それも限度に達するとレディースローンと銘打った闇金に手を出し、負債は制御不能なまでに膨らんで、ついに風俗堕ち。

 

闇金業者が語る女性客の良さ
脅しやすいという意味ではなく、回収方法がたくさんあるという意味で女性客はよい。

 

若い女なら親か風俗、既婚者なら旦那か風俗。

 

思わぬ落とし穴に落ちた女性
ブランド品の廉価販売会で騙されて闇金から借りたことになってしまい、風俗で返済した人のインタビューも出ている。

 

この人はもともと借金がきらいなのに、ひょんなことからこんな地獄に落ちてしまった。

 

家計を助けるために風俗に落ちた主婦
3例目はご主人の収入が減って家計を助けようとスナックでホステスをすることになった主婦の話。

 

浮気をきっかけに夫以外の男性とのセックスに抵抗がなくなり、デートクラブで働くように。

 

インテリアデザイナーの夢を諦めた女性
将来につなげたくて設計事務所の連帯保証人を引き受けたことから500万円の債務を負うことに。

 

親に解決してもらったかわり、家に戻って可も不可もない男と結婚。

 

闇金が語るパチンコおばさん
パチンコにのめりこんで借金漬けになるおばさんが多い。

 

風俗で働けるレベルの人は少なく、たいていは旦那につめさせる。

 

第2章 システム金融の手口
中小企業を対象にした闇金の手口の一種。

 

銀行やノンバンクから流出した情報をもとに、資金繰りに窮している会社に「即入金可」のFAXを流す。

 

相手が連絡してきたら、月5割の条件で利息込みの額面の手形を振り出させる。

 

ただし、振り込み金額は利息天引きなので、実際は半額。

 

これで資金が不足してくると別の同種業者から連絡が入る。

 

1社のターゲットを複数の闇金が順番にかじるのがシステム金融。

 

食品会社の実録
大きく投資して大きく稼げた高度成長期の成功体験が抜けない饅頭屋。

 

すべてがあまりにも大らかなどんぶり勘定。

 

悪名を馳せた商工ローン・日栄に借りて資金繰りに詰まり、そこへ連絡してきたシステム金融で地獄へ。

 

最後には30万円振り込んだら300万円貸します式の詐欺にまでかかる始末。

 

現役システム金融業者幹部へのインタビュー
昔は数カ月で潰していた。

 

不動産に買戻し特約をつけ、抵当権や短期貸借で真っ黒な物件を入手し、滌除で解決していた。

 

今は、半年ぐらいは持たせる。

 

それだけあれば、利益が出て、いよいよに詰まってきたら、「今後は利息抜きで元金だけでいいですよ」というと喜ばれる。

 

こうして利息も元金も全部回収する。

 

弁護士に駆け込まれても大きくは問題になっていない。

 

不法原因給付は元金さえ返済義務がないが、そこまで熱心にやる弁護士も少ない。

 

全体としてはシステム金融も前ほどもうからなくなっている。

 

個人を狙うシステム金融の見分け方
システム金融のターゲットは企業から個人に向かいつつある。

 

登録番号が「都(1)」のものは開業3年未満で、悪徳業者のほとんどがこれ。

 

住所が番地でおわっているものも×。普通はビル、部屋番号まで入っている。

 

3つ目は誇大な謳い文句。

 

実録ルポ マグロ漁船で返済した男
小さな電気店をやっていたが、近所に量販店ができて売上激減。

 

不渡りを出した後、闇金に手を出してしまう。

 

利息がどんどん膨らみ、ついにマグロ漁船に送り込まれる。

 

「いい働き口が見つかった。すぐ応募しないと定員が埋まる。しばらく帰れない。」と家に電話させられ、8カ月拘束。

 

その間、家には毎月15万円が振り込まれたが、恐るべき搾取である。

 

第3章 街金融と闇金融
彼の見解では、街金融と消費者金融の違いは、貸し付ける対象の違いではなく、担保の取り方。

 

消費者金融は無担保だが、街金は担保主義。

 

銀行で担保と言えば不動産だが、街金は不動産はもちろん、あらゆる種類の動産を担保に取る。

 

下記のような種類がある。(すべて業者のインタビューで説明)

 

1.手形金融
自己手形ではなく、商業手形の割引。

 

利率の相場は年利25~40%くらい。(月3%など)

 

ポイントは危ない手形をつかまないこと。

 

このビジネスの欠点は多額の現金が必要なことで、手元資金の不足を補うために「二度割」をすることも多い。

 

2.自動車金融
以前は自動車を預かり、保管料(月1万程度)を取って融資するのが普通だった。

 

乗ったまま融資の方法は複数あるが、名義変更して金融業者を所有者にするのも一つの方法。

 

年利は3~4割。1日でも返済が遅れたら売却する。

 

3.電話金融
かつて出資法の上限を超えた高金利が認められていた金融ジャンル。

 

電話から個人情報を調べる裏技も存在し、融資以上に儲かったりもした。

 

4.年金担保金融
年寄りの年金証書を担保として10~100万円程度を貸し出すもの。

 

街金が別会社で無届でやっていることが多い。

 

関西から九州にかけて多く見られた。

 

 

 

ここからは闇金の分類。

 

1.日掛け金融
飲食などの日銭商売の零細企業を対象とし、時限付きで例外的に出資法以上の金利が認められた金融。

 

実際はそれ以上の違法な金利を取ることが多い。

 

毎日、取り立てに来る。

 

違法に個人に対して貸し付ける場合もあり、鍋のグループ販売で騙されて借りさせられた主婦のインタビューが収録されている。

 

業者の話では、まあまあ儲かり、倒産が早くつかめるが、手間がかかるのが欠点。

 

よく似たものでソープ嬢などを対象にした週掛け金融というのもある。

 

2.090金融・宅配金融
スピード金融ともいい、電話1本で金を届けてくれ、ヒイチ(1日1割)とかニイチ(2日で1割)といった暴利を取るもの。

 

パチンコ屋に駐車している自転車・自動車にチラシを入れるほか、住宅街にビラを貼ったりして集客。

 

逃げられる可能性も大きいので、それをさせない力を持つヤクザがやることが多い。

 

3.パチンコ金融
スピード金融の亜流で、パチンコ店で貸しているもの。

 

 

 

金主インタビュー
金主とは金融機関への資金提供者。

 

消費者金融なら銀行が金主になっているが、街金の場合は漁業権補償で巨額のお金を手にした人とか、謎の富豪といった都市伝説がある。

 

実在の金主に聞くと、そういうのはあるかもしれないが稀で、銀行、普通の金持ち、ヤクザが多いとのこと。

 

この人の場合は元街金。

 

子供はいるが、自分の代で終わるだろうとのこと。

 

 

 

取り立て屋インタビュー
1例目は、本職は宝石ブローカーの人。

 

暴対法でオイコラの取り立てができなくなったため、彼のようなタイプが人気が出てきた。

 

会ったら必ずいくらかでも返済させ、しつこく通い、お金の捻出方法を相手に考えさせるのがコツ。

 

しかし、昔ながらの荒っぽい取り立て屋もいて、2例目がそれ。

 

マグロ漁船の話はインタビュアーが既に知っているので、臓器売買の実情を話す。

 

 

 

闇金に関連する他の商売。

 

買取屋はカードで物を買わせて安く転売する。

 

サラリーマンが対象で、借入枠がなくなってもショッピング枠が残っているのを利用する。

 

商品は、以前は貴金属、それもデザインのない喜平ネックレスが多かったが、今(取材当時)はノートパソコンが人気。

 

ほかには倒産屋。

 

ニッチもさっちも行かなくなった人をペーパーカンパニーの代表にして取り込み詐欺をやらせ、その完了で借金をチャラにするもの。

 

実録!これが夜逃げだ!
「夜逃げ」の実態も2例挙げている。

 

北海道から宗教団体まで逃げた男
ギャンブルの借金が原因で、妻と2人の子とともに夜逃げを図った男。

 

真夜中に荷物をまとめ、東京から車で北海道の妻の実家へ。

 

数日してヤクザが、続いてサラ金や信販が押しかけてきたが、後の祭り。

 

男は運転手の仕事を見つけたがきつく、実家の兄夫婦も冷たかった。

 

その後、奥さんが信者である新興宗教の本部(関西)に逃れる。

 

女に狂って人生を棒に振った男
スナックの女から始まって、サラ金から借りて高級ソープにのめりこむようになった男。

 

親の支援もむなしく、借金はさらに膨れ上がり、ついに夜逃げ。

 

東京から大阪へ行き、パチンコ屋の住み込み店員に。

 

それも続かず、実家に戻ってみると、家族が自分の借金を返していた。

 

男は家に戻ることはできないと悟り、再び姿を消す。

 

第4章 サラ金の変遷
戦後のサラ金の歴史を振り返りながら、いくつかのテーマを取り上げて結びとしている。