闇金ウシジマくん(真鍋昌平)|闇金関連文献リスト

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「闇金ウシジマくん」の要約

闇金ウシジマくん

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読者に代わって闇金関係の書籍を読み、要約を紹介しています。

 

皆さんの情報収集にお役立てください。

 

今回はマンガの「闇金ウシジマくん」(真鍋昌平 著 小学館 刊)です。

 

90年代後半以降の闇金の実像を描いた人気マンガです。

 

 

著者と本

「闇金ウシジマくん」は、マンガ家真鍋昌平氏の主要作品です。

 

2004年から「ビッグコミックスピリッツ」で不定期連載されており、単行本の既刊は42巻(2018年3月現在)です。

 

山田孝之主演で映画化もされています。

 

描かれた闇金像

2004年から連載が始まっており、事実のベースは90年代から2000年代初頭の出来事と思われます。

 

ウシジマくんのモデルになったと言われるトキタセイジ氏が現役で活躍したのもちょうどこの時代です。

 

トキタ氏は「路地裏拝金エレジー」という著書もあり、当サイトに要約を収録しています。

 

90年代はサラ金(消費者金融)と商工ローンが社会問題化した時代でした。

 

彼らへの批判が高まり、法律や行政の面でも整備が進み、2006年の貸金業法改正に結実します。

 

2000年代後半には、サラ金は銀行傘下に入っておとなしくなり、商工ローンの大手2社も姿を消しました。

 

しかし、サラ金・商工ローンが批判にさらされている陰で新たな勢力・闇金融が成長し、中小企業経営者のみならず個人も食い物にしていったのです。

 

これより前の世代の闇金というと、マンガで言うなら「ナニワ金融道」(青木雄二 1990~1996連載)「ミナミの帝王」(原作:天王寺大、作画:郷力也 1992年~連載)。

 

連載開始時期から推定すると、80年代から90年代初頭の事実がベースになっており、ウシジマくんより一世代前です。

 

貸付対象は主に個人ではなく中小事業者で、やっていることは法と違法の境目のグレーゾーン。

 

だから法律を駆使したり、法の抜け穴を利用して問題を解決する場面がたくさんでてきます。

 

しかし、ウシジマくんの世界ではこうしたシーンはまったくなく、描かれるのはひたすら最底辺の人間同士の陰惨な暴力だけです。

 

この時代の闇金はあまりに違法な、あまりにブラックな存在なので、法律を利用するとかいったレベルではすでにないからです。

 

こんな裏の世界をマンガを通じて垣間見られるのは興味深いことです。

 

しかし、ウシジマくんのような闇金はすでにほとんどいなくなっており、一世代前の闇金像なのです。

 

2006年に貸金業法が改正され、2010年からそのすべての項目が施行され、闇金への締め付けが強まって、彼らの世界も変わりました。

 

現代の闇金は、ウシジマくんのように客を迎える事務所は持っていません。

 

電話だけで商売するのがほとんどで、外で待ち合わせて会うのが少しです。

 

また、取り立ての方法も、本人への脅迫・暴力より、本人の周辺人物(家族、友人、勤務先)等にいやがらせをして社会的信用を棄損するやり方がメインになってきています。

 

2010年以降の闇金の姿を描いた漫画の登場が待たれます。