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ネットには「闇金被害は弁護士・司法書士に相談すべし」という情報があります。
闇金にそれを言うと「そんなことをしても意味ない。」と言われます。
「そんなことをすればどうなるかわかってるだろうな!」と脅されれば、相談してみる勇気も吹き飛んでしまうでしょう。
本当に法律家への相談は無意味でしょうか?
この問いにお答えします。
藤垣法律事務所代表弁護士。岐阜県高山市出身。東京大学卒業,東京大学法科大学院修了。2014年12月弁護士登録(67期)。全国展開する弁護士法人の支部長として刑事事件と交通事故分野を中心に多数の事件を取り扱った後,2024年7月に藤垣法律事務所を開業。弁護活動のスピードをこだわり多様なリーガルサービスを提供。
事務所HP:https://www.fujigakilaw.com/
最初に結論を言うと、闇金被害を弁護士に相談することには大いに意味があります。
暴力沙汰などが起きていない段階では、警察は動いてくれません。
法律家はムダどころか、ほとんど唯一の頼みの綱といってもいいほどなのです。
何をしてもらえるのかご紹介しましょう。
闇金への返済が滞りだすと昼夜を問わない取り立てが始まります。
それは当人だけでなく、家族や職場にも及びます。
無視や抵抗をするとヤミ金を激しく怒らせます。
最近は家まで来るのは稀で、リモートで嫌がらせをされます。
ピザの出前を大量に届けさせたり、消防車や救急車を呼ぶなどです。
弁護士や司法書士が受任を通知すると、そういう取り立てや嫌がらせがすぐに止まります。
「○○さんの件を引き受けた弁護士のAです。ただちに取り立てをやめてください。」と連絡するだけです。
早ければ受任当日、遅くとも数日中に止まるのが普通です。
とても不思議で信じられないかもしれませんが、実際にそうなのです。
一時的に取り立てや嫌がらせが収まっても、それだけでは意味がありません。
もう連絡しないという約束を取り付ける必要があります。
法律家はそこまでやってくれます。
法律的には「和解交渉」という呼び名になります。
そこまでが通常の対応範囲です。
和解の条件は2種類あります。
1)元金和解
次の条件で水に流すことを言います。
闇金に対しては、実は利息だけでなく、元金も返済の義務なしという結論が出ています。
2008年の最高裁判決で、それは借金ではなく、「不法行為に基づく給付」と位置づけられました。
平たく言うと「相手に損害を与える目的で渡したお金」という意味です。
だから、本当は「②残っている元金を返済する」義務はないのです。
しかし、元金和解でないと相手が納得せず、解決が長引く場合があります。
例えば、まだ返済した回数が少ない場合です。
特に一度も返済せずに法律家に駆け込んだ場合、借り手は損害ゼロで、闇金は収支マイナスです。
これでは闇金はなかなか納得しません。
早期解決のためには元金和解を選択した方が得策の場合もあります。
しかし、もうだいぶお金を払って大被害を被っているのに元金和解を勧めるような先生はダメです。
依頼者の立場に寄り添わずに楽な仕事をしていると言われても仕方ないでしょう。
なお、法律家をはさまない元金和解を闇金の方から提案してくる場合がありますが、拒否すべきです。
理由は元金を払っても勝手な理屈で取引を続けてきたり、「優良顧客」として情報を他の闇金に売る可能性が高いからです。
2)ゼロ和解(振金和解)
次の条件で水に流すことを言います。
今まで振り込んだお金でおしまいにするという意味で、「振金和解」とも呼ばれるわけです。
可能な限り、ゼロ和解を目指すべきです。
先ほどの理屈にしたがえば、今まで払ったお金も「損害」として返金請求する権利が本来はあることになります。
ただ、これは法律的には正しいですが、現実には非常に難しいです。
闇金の居場所の特定が非常に困難だからです。
これ以上の支払いは止められるが、既に払ってしまったお金を返させるのは難しい。
しかし、この困難な仕事までも、状況によっては引き受けてくれる法律家もいます。
口座凍結に動いて、まだ全額引き出されていなかった場合です。
全額は無理でも一部だけでも返金してもらえれば、かなり助かるはずです。
とはいえ、振り込まれたお金はすぐに引き出すので、口座にお金が残っていて返金されるのはレアケースだと思ってください。
闇金に手を出してしまっている人は、銀行やノンバンク(合法の貸金業者)からもたくさん借りている多重債務者であるのが普通です。
ノンバンクというのは、クレジットカード会社、消費者金融(アコム、プロミス、レイク等)、信販などです。
そういう相手に対しては、債務整理という合法的な借金減額措置があります。
債務整理3種
任意整理 |
業者と個別に交渉し、利子をカットして元金だけ数年で返済することで許してもらう方法。 |
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個人再生 |
裁判所の監督下で業者一律に借金を2割程度にカットし、数年で返済する方法。 |
自己破産 |
裁判所の監督下で財産をすべて換金して債権者に分配し、借金を帳消しにしてもらう方法。 |
債務整理をするともちろん無傷では済まず、信用低下というペナルティーを伴います。
一定期間の間、金融機関からの借り入れができず、クレジットカードも作れない、等です。
いわゆる「ブラックリストに載った」状態です。
一番キズが浅いのが任意整理ですが、借金の程度がひどければ、一番キツイ自己破産しかないかもしれません。
それでも自己破産なら借金は全額帳消しになるし、クレジットカードが作れなくても再起の道はあります。
闇金解決を請け負う法律家の中には、債務整理も手掛けている先生もいらっしゃいます。
その場合、闇金解決も債務整理もワンストップでできて便利です。
債務整理は請け負っていない先生の場合も、債務整理の内容や手続きの概要については教えてもらえるはずです。
これは借金苦に喘ぐ読者にとって大きなメリットであるはずです。
弁護士や司法書士が受任通知するだけで取り立てが止まる?
あのヤクザのような闇金が?
これが不思議で信じられないかもしれません。
そのカラクリを説明します。
初期の闇金(1990頃~2010頃)は極めて暴力的でした。
この時期の事件として、一家全員を集団自殺に追い込んだ2003年の八尾闇金事件は有名です。
当時、闇金をやっていた人間が後に書いた本では「拉致して首まで砂浜に埋めた」話が出てきます。
余談 闇金以前の闇金的存在
ちなみに「もっと前は闇金はいなかったのか?」と疑問に思う人もいるでしょう。
80年代以前は、サラ金が「グレーゾーン金利」と呼ばれる違法な高金利で、乱暴な取り立てを行っていました。
サラ金とはサラリーマン金融の略で、今日「消費者金融」と呼ばれているアコムやプロミスやアイフルのことです。
とりわけ悪名高かったのは2010年に倒産し、2017年に消滅した「武富士」です。
合法業者であるはずのサラ金が暴力的な高利貸しをやっていた。
その実態が明るみに出て規制が強まった頃にヤミ金が登場したのです。
しかし今は当時とはすっかり環境が変わりました。
1.法規制の強化
昔は警察に闇金被害を相談すると「借りたお金は返しなさい」と説教されることもありました。
乱暴な取り立てはいけないが、借りたものは返すべきという道徳もある。
「闇金はどこまで悪なのか?」という問題がはっきりしていませんでした。
しかし、先に紹介したように2008年の最高裁判決は、闇金は利子だけでなく元金も「損害」として返金請求可能としました。
「闇金は100%悪」ということが確定したのです。
ほかにも闇金に不利な法整備がいろいろ進められました。
貸金業法が2006年に抜本改正され、2010年に完全施行されたことが大きいです。
100%悪である以上、警察と交渉の余地はなく、接触は絶対避ける必要があるのです。
貸金業法や出資法の違反に対する罰則は、懲役を含む厳しいものになっています。
2.映像証拠を取られる危険度の上昇
今や至るところに防犯カメラが設置されています。
国民のほぼ全員がスマホを持っており、いつでも写真や動画を撮れます。
相手先に出向いて暴言・暴行を行うのは極めて危険になりました。
3.闇金解決を請け負う法律家の出現
法の整備に伴い、闇金への対応を請け負う弁護士・司法書士も現れました。
脅しに屈しない度胸をつけ、情報とノウハウを蓄積してきました。
法律家に逆らえば、警察の本格介入を招きます。
闇金の組織は10階層くらいのピラミッド構造で、下の者は上の者のことを何も知りません。
だから末端の支店で逮捕者が出てもラスボスに追及が及ぶことはまずありません。
しかし、人材と売上は失います。
そこで、闇金のビジネスモデルは一定の割合で貸し倒れが発生することを織り込んだものに進化してきました。
弁護士に駆け込まれるなど、まずい事態になったら深追いせずに早めに見切る。
それでも全体では利益が出るようにしておくということです。
法律家の和解交渉に闇金が応じる理由はこれです。
そう言われても信じ切れない気持ちもよくわかります。
弁護士や司法書士が結局無力だった場合はどうなってしまうのか?
その心配もわかります。
他の選択肢も少し考えてみましょう。
警察にも相談はしてみてください。
地元の警察署の担当部署は生活安全課です。
特に実際に家や職場に来て脅されたり、暴力を振るわれた場合は、必ず被害届を出してください。
ちゃんと対応してくれるはずです。
対応が十分でない場合は、警察相談専用電話「#9110」に連絡してください。
しかし、明確な犯罪行為が発生していない段階では、警察にできることは限りがあります。
理由は3つあります。
1.民事不介入の原則
借金問題などの民間の争い事には、事件が起きない限り、警察は首を突っ込まないのが原則です。
2.本当に闇金被害なのか?
世の中には借金から逃れるために、まっとうな相手を闇金呼ばわりする人もいます。
被害の証拠もない段階では、一方の当事者の話だけを鵜呑みにするわけにはいきません。
しかし、事件でもないのにその正否を調べている余裕はないのです。
3.闇金は所在不明
現在の闇金は接客のための事務所を構えておらず、住所不明です。
相手の居場所を突き止めないことには、警察は何もできません。
手がかりは携帯番号と振込先口座だけです。
しかし、違法に購入した他人名義のものをどんどん使い捨てていくので、相手にたどり着くには大変な労力が必要です。
事件でもないのに、多数の相談案件でそれをやるのは難しいのです。
警察からの電話は効果なし
頼めば闇金に電話で警告してくれる場合もありますが、おすすめしません。
事件性がない段階では、警察はそれ以上のことはしてくれないからです。
これでは闇金を怒らせるだけに終ります。
地域の消費者問題や借金問題全般の苦情・相談を受け付けている団体が存在します。
地方公共団体が運営する「消費生活センター」や独立行政法人の「国民生活センター」などです。
消費者ホットライン「188」に電話をすれば、最寄りの消費生活センターを紹介してくれます。
苦情を聞いてくれて、対策や相談先のアドバイスをしてくれます。
「弁護士・司法書士が本当に役に立つのか信じられない」
そういう人は、先に消費生活センターなどに問い合わせて、裏を取ってから行動するのもいいです。
ただし、こういう機関が直接闇金と交渉して取り立てや嫌がらせを止めてくれるわけではありません。
結局、現在の激しい取り立てや嫌がらせをすぐ止めたいと思ったら、法律家に頼るしかありません。
まずはそれをやって心の平安を取り戻すことが大事です。
ただ、覚悟と経験のある方を選ぶ必要があります。
法律家も電話で暴言を吐かれたり、家族に危害を加えると脅されたりします。
事務所や自宅にピザの大量注文を送りつけられたりもします。
それに震え上がって仕事を放棄し、依頼者と連絡を断つ先生もいます。
そうならないよう、闇金解決に実績のある法律家を選ぶことが大切です。
実は闇金に「弁護士に相談する」と言ってしまっていることがもうダメです。
そして「意味ない」と言われて信じかかっている点もダメです。
自分が困ることを、裏社会の悪党が正直に言うと思いますか?
きつい言い方ですが、今後の闘いで大事な事なので聞いてください。
「弁護士に相談するぞ」「警察に通報するからな」・・・・
あなたが何を言ったところで闇金が屈することはありません。
「それをやられると困ります。手を引きます。」などと言うことは決してありません。
闇金に引っ掛かっている時点で、あなたは圧倒的な情報弱者なのです。
相手はあなたのような人間を何百人も騙し、脅し、洗脳してお金を奪ってきたのです。
百戦錬磨の裏社会の人間を言い負かすなど、不可能です。
それに、そういう話を相手にするのは敵に自分の作戦を教えているのと同じです。
例えばボクシングで「最初にフェイントをかけた後、ワンツーフックを打ちますが、いいんですか?」と聞くようなもの。
相手は「やってみいや!そんなん軽くよけてぶっ殺したるわ!!」と言ってくるでしょう。
そんな罵声ひとつであなたは恐怖で金縛りに遭うでしょう。
何もできないまま、ますます相手に洗脳されて、人間ATMを続けることになります。
警察に通報するにせよ、弁護士に相談するにせよ、敵に教えてはダメです。
よく調べて考え抜いたことを、黙って実行することが大切です。